副業が禁止されている理由と想定される未来の情勢

副業の解禁が世間的に大きく注目を集めていますが、皆さんは副業を考えたことがあるでしょうか。
今まで日本は基本的に本業以外で仕事をすることを禁じていましたが、それが政府主導のもとで大きく変わり始めたのが数年前。
今ではかなり多くの人が副業に手を出し始めており、本業以外でメインの収入を立てている人が当たり前になってきました。
ただ、そんな話題性の中でも、企業がまだ副業に乗りきではなくやりたくても手を出すことができていない人もいるのではないでしょうか。
なぜ企業は副業を禁止するのか、その理由を紐解いた上で対応策をお話していきたいと思います。

私も早いもので副業は既に5年が経過しました。
インターネット企業に勤め、インターネットサービスの面白さにのめりこみ、そして自分でできる幅が非常に拡がったことで、副業に目覚めました。
副業で自分で稼ごうにも、大半の仕事は時間もかかるし営業や取引先とのやりとりに工数を遣うものですが、インターネットに関しては自分の好きな時間にできる限りの時間で進めることができ、それでいてやり方によっては大きく稼ぐこともできることは非常に魅力的です。
しかし私も当時は非常に葛藤がありました。
なんせ副業など周りにやっている人はほとんどいませんでしたし、会社の規則も厳しかったためにバレたらどうなるかわからなかったからです。
当時はなぜ働き方がこんなにも制限されるのか、その理由は分かりませんでしたし、会社もなぜこんなに厳しくするのか理解できませんでした。
ですが、その理由が分かるにつれて、徐々に個人の働き方の選択肢を広げていくことができました。

会社が副業を禁止する理由を知るには、まず、会社が活動する意義を理解することが重要です。
禁止するからには相応の理由がありますし、それは会社の目的に反している、阻害要因になるから禁止しているのであって、裏を返せば阻害要因にならなければ問題ないのです。
会社が活動する意義は、もちろん、経済的活動が主目的になります。
多額のお金を稼ぐために活動しており、会社にとっての一番の損失はこの主目的であるお金を稼ぐことを阻害されることになるのです。
企業はどのようにお金を稼いでいるかというと、当然ながら商売を行ってお金を稼いでいます。
それには、営業を行う人が必要ですし、またマーケティング、開発、バックオフィスの人と様々な役割の人が必要となってきます。
そのすべての活動は、基本的に会社に利益をもたらすために必要な活動であり、その全ての人の行動が会社の利益に繋がります。
ですので、1人欠けてしまうとその分会社の利益を損なうことに繋がることになるのです。

これこそが、会社が副業を禁止する最大の理由であり、今までの日本の企業が原則副業を禁止にしていた理由なのです。

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副業を禁止にする最大の理由は企業利益を損なうこと

では、より具体的に、副業によって企業がどれほどの損失をこうむるのかを紐解いていきたいと思います。
例えば、1人が1日の2時間ほど副業のために時間を割いていたとします。
そうなると、単純に、企業にとっては2時間自社のために働いてもらう時間が損なわれることに繋がります。
もちろん、これが業務時間外であれば、会社に拘束されている時間ではないので、問題ないはずですが、これは企業によって解釈がわかれるため危険です。
例えば、それが例え業務に当たらなくとも、企業にとっては実務に活かすために勉強の時間に充ててほしいと思うのが実情です。
それが、自社の利益には全く繋がることのない副業に時間を割いているのだとしたら、会社にとっては貴重な学習時間を無駄に過ごされたと思ってしまいます。
いくら業務時間外であっても、社員には自社の利益に常に向き合ってもらいたいと考えるものであり、場合によっては昇進が見込めないなどの状況に陥ってしまうかもしれません。
もしかしたら、その副業が当たって多額のお金に繋がるビジネスに化ける可能性もあるわけで、そうなると結果的に会社としては損失を被ってしまうことになります。
自社で起案してもらい、そこでビジネスをしていれば会社の新たな利益になったかもしれません。
そう考えると、例えば業務時間外であっても、そこは業務時間外、業務時間内は関係なく、社員は常日頃から自社の利益を最優先して行動するものという前提で副業すること自体を禁止しているのです。
そんな理不尽なと思うこともあるかもしれませんが、残念ながら多くの日本企業はそのような体質であり、それが就業規則として明記されている企業がほとんどです。

基本的には副業は如何なる場合であっても自社の利益を損なう行動に繋がるということであり、そのため就業規則にも定め禁止している、それが副業を禁止している理由なのです。

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副業を禁止しなくなった理由も企業利益の向上に依るもの

ではそんな状況にも関わらずなぜ今多くの企業が昔から続いた副業に関する規定を見直して副業を解禁し始めているのか、企業が副業を禁止する理由が分かるとその疑問が湧いてきます。
実はこれも、企業にとって利益を最大化するために解禁をしているのです。
ほんの数年前は日本の人口も増加の一途を辿り、就職したくても就職できないような時代が続いてきました。
しかし、2010年を境に日本の人口は減少に転じており、その状況に輪を掛けて、東京オリンピックなどの経済の後押しもあって業績好調な企業が増えています。
そうなると今度は採用難の企業が多数を占め、ブランド価値の高い大手企業であっても採用が難しい時代となっていきます。
特にどこの企業も欲しがるような優秀な人材は引く手あまたであり、獲得するには相当のコストがかかってしまいます。
そこで、副業を解禁、認め始めることで、外部の優秀な人材を引き入れようという動きが出ているのです。
正社員で副業を禁止することで利益を確実に確保するよりも、副業を認め幅広く優秀な人材に関わっていける土台を形成したほうが、このまま人口が減り続ける社会を見越すと優位に働くと判断し、禁止を取りやめる会社が増えている、それが現在副業解禁を行う企業が増えている理由です。

つまり、如何なる場合であっても、企業は自社の利益を最優先に考え、市場環境から副業を禁止にすべきか、解禁すべきかを常に測っており判断しているのです。

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副業を禁止する理由から今後の市場環境を読み解いてどうあるべきかを考える

これまでのお話で企業が副業を禁止する理由がある程度お分かりいただけたかと思います。
ただ、理解できたからといって行動しないことには何も変わりません。
禁止している最大の理由が分かったら、あとはその理由を深く洞察して今後に向けて行動していきましょう。
現状は、「禁止している企業」もあれば「解禁している企業」もあるという状況です。
それは企業の利益を最大化するために、各社が自社と市場環境よりメリットを判断しているからです。
では今後長い目で見た時に企業はどのような体勢となっていくだろうか、ということですが、以下の2パターンに分かれていくことが想定されます。

1:一定数規模の企業は軒並み副業を解禁し始める
2:一定数以下の企業はそのまま副業禁止を継続する

人口が減少しているからといって軒並みどの企業も副業禁止を解くわけではなく、企業規模に応じて分かれていくのではと考えています。
理由は、「人口減少が続くからと言って経済情勢もずっと好調のわけではない」ことと「常に求められるのは優秀な人材のみ」であるということです。
副業を許してまでも労働力を確保したいという企業は、言うなれば業績も好調で、どんどん仕事をこなして利益を確保していきたい企業です。
今でこそ経済好調の勢いのままに、大手企業だけでなく中小企業も労働力の確保に躍起になっていますが、これが続くのは経済が好調の時だけであり、不景気になれば、たちまちに状況は一変してしまうでしょう。
業績が悪くなれば、まず手を付けるのは固定費の圧縮からが基本ですので、人件費となる採用はかなり圧縮されます。
そんな状況でも労働力を求めるのは、ビジネスの仕組みを確立しており経済情勢にそこまで大きく左右されないビジネスモデルを築いている一定規模の企業に限られるでしょうし、そのような企業でも欲しいのは状況を打破する優秀な人材のみに限るだろう、というのが上記の2パターンに分けた理由です。

ですので、現状副業を考えている方は今自分が勤めている会社の規模、または自分の市場価値を見極めた上で行動を起こすことがベターだと考えています。
一定の規模の会社であれば今後解禁される可能性が非常に高いでしょうし、また自分の市場価値が高ければ例え今の会社で副業ができなくとも、他の会社で仕事を見付けることは容易でしょう。

以上のように、副業が禁止される理由を紐解いていけば、今後自分がどのように行動していくべきか、方針を立てることができるようなります。
副業を考えているものの現在の会社で禁止されている場合には、上記の理由と他の選択肢を鑑みて行動してみてみることをお勧めします。