社労士の副業はサラリーマンでも可能?おすすめの稼ぎ方と将来の可能性

資格を活用して副業を行う場合、社労士の資格を活かすことは選択肢の1つとして挙げられます。

社労士は国家資格でもあり誰でも簡単に取得できるわけではなく、その上で必ずしも副業で稼げるとは限りませんが、方法次第では十分な報酬を得られることもあります。

また、今後の日本の市場変化に伴って社労士の需要が増していく可能性もあります。

今回は、そんな社労士の副業について、具体的にどんな仕事ができるのか、またサラリーマンなど本業がある場合に成立させることができるのか、未来はどうなのかについて余すことなくご紹介したいと思います。

スポンサードリンク

社労士(社会保険労務士)の副業とは?

社労士は、社会保険労務士の略称であり、主に企業の労務管理を支援する仕事です。

具体的には、社会保険や労働基準法や就業規則、年金に関する相談、その他労務に関する必要書類の作成などが主な業務内容であり、例えるならば労務管理の専門家、スペシャリストと言うことができます。

この仕事は社労士でなくてはできず独占業務にあたるため、社労士として副業するには資格が必要になります。

そのため、既に資格を取得している場合はすぐに副業を始めることができますが、保有していない場合には相応の勉強が必要です。

社労士の資格は国家資格の1つであるため誰でも取得できる資格ではなく時間もお金もかかるため、将来的に社労士として働き収入を上げる覚悟が無ければ難しいかもしれません。

しかし、数ある士業の資格の中でも合格率は高い方であり、サラリーマンであれば労務に関する知識はある程度は必然的に身に付くため比較的取りやすく人気の資格でもあります。

私の周りにもサラリーマンでありながら社労士の資格を取得し副業している知り合いがいますし、国家資格で取得難易度が高くとも成立させることは可能です。

なお、社労士として副業するには2段階のフェーズを経ることが求められます。

まずは、資格の取得が第1段階であり、さらに第2段階として社会保険労務士会に登録する必要があります。

この社会保険労務士会への登録は実務経験が2年以上でなければならず、2年以下の場合には約2か月間の事務指定講習を受ける必要あるため資格を取得したとしても終わりではないのです。

2段階の過程を無事に完了した時に晴れて社労士会に登録した上で社労士バッジをつけることが許され、副業が可能となります。

ただし社労士会への登録は無料ではなく、登録費用だけで十数万円、毎年の年会費も存在します。

厳密には、社会保険労務士名簿への登録費用として登録免許税が3万円、手数料が3万円、社労士会への入会金が3万円~8万円、別途年会費が毎年数万円発生するため、その点は予め念頭に置いておく必要があるでしょう。

社労士として副業できるようになった後は、大きくは以下の選択肢から仕事を行えるようになります。


【社労士の副業】
1:ハローワーク等行政からの依頼で副業
2:社労士会主催の無料相談会等でアルバイト
3:各種クラウドサービスに登録し認定アドバイザー等で副業


基本的には、副業で働く場合には個人事業主として開業社労士となり働くことになります。

その場合、社労士として副業して稼いだ報酬は自ら確定申告する必要があります。

確定申告は、納税義務を果たすだけでなく、サラリーマンなど本業がある場合には会社にバレないようにするためにも必ず必要になるため、申告が漏れないように注意しましょう。

社労士(社会保険労務士)の副業:ハローワーク等行政からの依頼で副業

社労士が副業する方法として、1つ目に行政からの依頼で働く方法があります。

中でも良くある仕事がハローワークでの仕事です。

ハローワークでは、求職者に向けて就職指導や面接指導、履歴書の書き方などを行っていますが、指導員が足りない場合には社労士に依頼が来るのです。

時給はおおよそ1,000円~1,500円ほどと行政の予算によって異なります。

またハローワークで指導員として経験を積めば嘱託職員として長期間の契約を結べる可能性もあるようです。

その他行政が出しているアルバイトの求人には、ハローワークでの指導員以外にも「社労士資格保持者優遇」のバイトもあります。

労働基準監督署や協会けんぽ、行政の国民保険国民年金課、福祉課等、社労士と関わる部署は基本的に社労士資格者を持っていることが前提の求人を出しています。

社労士(社会保険労務士)の副業:社労士会主催の無料相談会等でアルバイト

社労士会に登録を行えば、社労士会が保有しているアルバイト求人に応募し働くことができます。

社労士会は各都道府県に1つ以上存在し、さらにその下にいくつもの支部が設けられており、支部ごとに様々な活動が行われているため、無料相談会などその活動を手伝うことで働くことができるのです。

応募は社労士会専用のサイトにて行われ、社労士会に登録さえ行えていれば誰でも応募資格があります。

社労士のアルバイトは基本的にベテランも新米も関係なく、日当は一律2万円で支払われ、勤務時間はおおよそ5~6時間ほどで終わることが多く、費用対効果の面で魅力的なバイトです。

そのため、社労士になりたてで経験が浅く営業活動が上手くできない場合や、サラリーマンが本業で土日しか副業に充てられない場合に積極的に利用するのが良いでしょう。

また、実績を積んでいけば、営業せずとも顧客を獲得し顧問契約に繋げられるメリットもあります。

社労士(社会保険労務士)の副業:クラウドサービスの活用

行政、社労士会の他にも、インターネット上のクラウドサービスを利用することで求人に応募し仕事を行う方法もあります。

社労士として一定の実績を積んでいることが必要になりますが、各種クラウドサービスに登録し認定アドバイザーとして認められれば活動の幅を大きく拡げることができます。

クラウドサービスをきっかけに本格的に企業から契約を獲得していくことができれば社労士として副業収入を大きく伸ばすことができるでしょう。

私がおすすめする登録しておきたいサービスは以下の3つです。


【社労士の副業におすすめのクラウドサービス】
・freee(会計管理クラウドサービス)
・SmartHR(労務管理クラウドサービス)
・ジョブカン(勤怠管理クラウドサービス)


それぞれのサービスで特化領域は異なるものの、クラウド上(インターネット上)で企業のお金や労務、勤怠等を管理できるサービスであるという点は共通しています。

いずれのサービスも、社労士を認定アドバイザーとして募集しているため、登録することで企業からの社労士としての仕事依頼を獲得し副業を行うことができます。

クラウドで利用できる管理サービスとして有名であり利用企業数も多いため、認定アドバイザーとして評価を高めていくことができれば継続的に多くの案件を獲得していくことができるでしょう。

また、増加傾向にある企業のニーズを捉えることができれば、将来的に仕事をもっと増やしていくためのヒントを得ることもできるため、資格を存分に活かして副業を進めていくことも可能になります。

もしも、独自に企業を開拓するコツが掴めるようになれば、いずれ本業並みに稼ぎを見込むこともできるため、独立も視野に入れることができます。

そうなれば自分で仕事量をコントロールし、場合によってはサラリーマン時代よりも多くの収入を得られる可能性もあるでしょう。

スポンサードリンク

サラリーマン社労士(社会保険労務士)として副業が成立する可能性

ここまで、社労士の副業について、どのように仕事を得てどんな働き方ができるのかを中心にお話してきましたが、次に、本当にサラリーマンをしながら社労士として副業など成立するのかという点についてお話していきたいと思います。

結論から言えば、サラリーマンであったとしても社労士として副業は成立します。

資格を既に持っているのであれば、すぐに始められますし、例え資格を持っていなくとも、普段から企業に勤め働いている人ならば労務や保険に関して普段の知識を利用できることも多く試験に合格できる可能性も高いでしょう。

以下より、社労士資格取得の可能性、社労士資格取得後の活動、稼げる報酬額について具体的にお話します。

資格の取得可能性

社労士は国家資格であるため、難関国家資格に位置付けられ、資格を得るためには難易度の高い社労士試験に合格する必要があります。

冒頭でも述べましたが、合格率は約9%前後であるため、10人に1人しか合格しない計算であり、一般的に考えればハードルの高い資格となります。

しかし、普段から企業に勤めるサラリーマンであれば、労務や人事に関する必要最低限の知識は否が応でも備わること、他の士業資格よりも合格率が高いことを鑑みれば、あながち可能性が低いとも言い切れません。

実際に過去の社労士試験の合格者のうち半数以上は社会人であり、そのうち会社員が多数を占めています。

今では通信教材やWebで学べる教材を豊富にあり、学校に通わずとも学べる環境が充実しているため、普段の仕事から身に付いた労務知識、人事知識をさらに磨き込み準備できれば十分に合格できる可能性はあると言えるでしょう。

社労士の資格取得に関する概要が以下の様になりますので、しっかりと準備した上で臨むようにしましょう。


【社労士資格取得に関する概要】
・試験日:年に1回夏ごろ開催(2019年は8/25に実施)
・主催団体:全国社会保険労務士会連合会 試験センター
・受験資格:以下のいずれか1つに該当し、受験資格の証明書類を提出できる者
1:学歴の条件を満たす者
※大卒や短大卒、そして高等専門学校卒、所定の専門学校を卒業
2:定められた実務経験を有する者
※社会保険労務士、または社会保険労務士事務所、それに弁護士、または弁護士法人の補助で事務経験が3年以上
3:その他の国家試験合格者
※行政書士や司法書士などの資格保持者
・合格率:年によって異なるが毎年5%~10%の間を推移。2018年は6.3%
・出題形式:選択式・択一式
・出題範囲:試験内容は以下の通り
1:労働基準法及び労働安全衛生法
2:労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
3:雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
4:労務管理その他の労働に関する一般常識
5:社会保険に関する一般常識
6:健康保険法
7:厚生年金保険法
8:国民年金法
・検定料(受験手数料):9,000円


資格取得後に仕事ができる可能性

社労士試験合格後も社労士会に登録するにはいくつかのハードルがあります。

冒頭でも述べましたが、試験に合格したからといって社労士になることはできず以下のいずれかの条件を満たした場合にしか社会保険労務士名簿への登録は認められていません。


【試験合格後に社会保険労務士名簿に登録するために必要なこと】
・実務経験2年以上の実績
・事務指定講習の修了


実務経験は、試験合格前も加味することができ、試験前と試験後の経験期間の合計としてカウントすることができます。

具体的には、以下のような労働社会保険諸法令県警事務に従事した期間が実務経験に該当します。

・雇用保険・健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届・喪失届に関する事務
・健康保険・厚生年金保険の被保険者報酬月額算定基礎届・月額変更届に関する事務

しかし、社労士資格のない状況で、且つサラリーマンとして本業がある中で事前に実務経験を積むにはボランティアなどで活動せねばなりません。

時間がない中で誰もができることではないため、現実的には実務指定講習の修了が一般的になるでしょう。

実務指定講習の内容は、4か月間の通信課程の勉強に加えて4日間の面接指導課程が組まれたカリキュラムになります。

具体的には以下のような概要になります。


【社会保険労務士の実務指定講習】
・受講資格:社会保険労務士試験合格者のうち、実務経験が2年に満たない者
・講習内容:通信指導課程(4か月間)と面接指導課程(4日間)の組み合わせ
1:労働基準法及び労働安全衛生法
2:労働者災害補償保険法
3:雇用保険法
4:労働保険の保険料の徴収等に関する法律
5:健康保険法
6:厚生年金保険法
7:国民年金法
8:年金裁定請求等の手続
※通信指導課程:教材による自己学習と研究課題の報告。通信教育方式によって添削指導を実施
※面接指導課程:講習科目について講義形式で4日間(1科目3時間)実施
・修了検定:通信指導課程および面接指導課程の所定の要件を満たし全過程を修了したと認められる者に修了証を交付
<所定の要件>
1:通信指導課程は、課題の提出を期間内に完了すること
2:面接指導課程は4日間の面接指導を全日程受講すること
・受講料:77,000円(税込)


なお、上記の実務指定講習はいつでも受けられるわけではなく、申し込み受付期間が定められているため、タイミングにおいて注意が必要です。

通信指導課程や面接指導課程も受講日時、および受講地が明確に定められているためスケジュールを抑えた上で講習の望むようにしましょう。

稼げる報酬額

では、実際に社労士として副業した場合にどれくらい稼ぐことができるようになるのか、この点も具体的なシミュレーションを通じてご紹介していきたいと思います。

まず、社労士になりたての際には、基本的に社労士会で掲載されている求人に応募することで副業をする方法が規定路線になります。

その場合に稼げる金額は日当2万円であるため、週に2日行った場合は週4万円稼げることになります。

これを単純に毎週行ったとすると月に16万円稼げる計算です。

サラリーマンで本業がある場合は働くことができたとしても週に2日が最大値であると仮定すると、副業での最高月収はこのあたりが妥当であると考えることができるでしょう。

例えば、土日休みのサラリーマンの場合であったとしても、社労士会主催の相談会などは土日に開催されているケースも多いため、積極的に応募すれば最初はそれだけで稼ぐことができるはずです。

せっかくの休日を2日とも使うと多少抵抗を感じるかもしれませんが、社労士の副業における最大のメリットは稼働時間が短いことで、5時間ほどで終わるケースも多く存在します。

2日で計10時間、通常のアルバイトであれば時給1,000円で1万円しか稼げないところを2倍の報酬を手にすることができるのです。

こう考えれば、土日2日間副業に充てたとしてもプライベートの時間も確保できるため無理なく副業することができます。

さらに、最初に相談会での就業実績を頑張って積み、社労士としての経験が増えてくれば、平日の夜など、サラリーマンの就業期間外の時間で認定アドバイザーとして活動できる可能性が高まります。

そうなってくれば、土日に働かなくとも平日の空いた時間だけで月16万円を大きく超え稼ぐことも可能になるでしょう。

この可能性を考えると、社労士の副業は他の副業に比べて遥かに費用対効果が高いため、おすすめの副業であると言うことができます。

スポンサードリンク

社労士の副業における未来

現在、日本は2010年を境にして急激に人口が減少し過去最大の有効求人倍率を記録するほどの人手不足という状況です。

日本は全国に約1,900自治体存在しますが、その約半数にあたる900自治体が消滅可能性都市に指定されるなど、人口減少からくる過疎化に歯止めの効かない状況に直面しています。

この事態に日本政府も本腰を入れ多額の予算を投下して東京一極化集中を是正すべく移住促進や地方企業の雇用促進施策を打ち出し、地方創生を推進しています。

しかし、それでも数には限りがあるもので、複数の企業が人材を奪い合っている状況であるために企業の採用難易度は数年前とは比較にならないほど上がっているのです。

私は、2025年以降の高齢化と人口減少が大幅に進む際に、単なる採用や移住促進施策では対応しきれない状況になるものと考えています。

数で対応することが困難であるために、人材の質で対応すべく現在一部の企業で本格的に対応され始めている生産性向上が唯一の解決策なっていくと思っています。

生産性を向上させるには、従業員1人あたりの厳格な勤務時間や仕事の状況をデータで可視化することが求められ、それによって従業員の管理システム導入が大幅に進んでいくはずです。

さらには、この状況が進むことで、未払い請求問題が発生していくと考えられます。

現在では、過払い請求問題への対処が主流になっていますが、今後は個人が働いた時間に対して本来貰えるはずの給料が支払われていないことに対する請求問題が発生していきます。

この問題は、今後、厳格化し始める企業の勤務管理、労務管理を前に弁護士業界が目を付けている領域であり、そうなると企業における管理システムの導入ニーズがさらに高まるはずです。

このような情勢から、2020年以降の日本社会では、企業が勤務管理や労務管理に力を入れ始める未来が必ずくるはずです。

もしこの未来が現実のものとなった暁には、企業の社労士ニーズは必然的に高まります。

ニーズが増えるということはそれだけ仕事が多くなり収入を増やせる機会が増えるということですので、資格を取得して副業を考えているサラリーマンには最適な選択となります。

さらに、クラウドサービスを活用し労務管理、勤怠管理が行える社労士ともなれば、さらに市場価値は増していくことでしょう。

以上のように、社労士の未来は必然的に明るくなると考えられ、さらにITスキルを活用できれば市場を席捲できる可能性もあります。

単に、目の前の収入を伸ばすだけだと、資格を取得するために費やした金額や時間を考えるとコンビニのアルバイトをしたほうが効率の良い稼ぎ方ができるかもしれません。

将来を踏まえて、長い間稼げる方法をイメージした上で資格の取得、副業に臨むようにしましょう。